『CONTROL』感想
最近遊んだゲームのレビューです。
『CONTROL』
超常現象を観測、調査する政府の秘密機関「連邦捜査局」を舞台に、異世界の脅威「ヒス」と対峙する。
TPS(サードパーソンシューティング)で進行する、アクション×ホラーです。
前記した概要のように専門用語が多く、世界観を構築する要素への取っ掛かりが少なそうに思えますが、プレイしてみると実はそんな事はありませんでした。
寧ろ世界観の補完となるテキストやフレーバーとなる収集アイテムが各所に散りばめられていたり、「連邦捜査局」で職務を全うしている登場人物のそれぞれとは会話可能。
「ヒス」とはなにか?「連邦捜査局」とは?「主人公が訪れる前に起きた惨劇」とは?などの説明はきちんとゲーム部分が丁寧に導線を貼ってくれています。
寧ろ開発サイドが「SCP財団のウェブサイトに影響を受けている」と公言するほどの深いインスピレーション元として上げており、専門用語のそれぞれにゾク………とした人は絶対に触った方がいいゲームの1つです。こういうのが大好きです。
ゲーム本編のストーリーもさることながら、とにかく世界観の尖り方、開発スタッフがやりたかったこと、好きなもの、その全てが破綻せず詰め込まれた背景描写やマップのそれぞれには惹かれるものがありました。
数十時間のプレイ中も景観に飽きることはなく、進める度に何が起きるかわからないような不気味かつ魅力的な世界を堪能する楽しみが常に存在しています。
ホラーと言ってもプレイした限りジャンプスケア(音と画面効果で驚かせてくる)はほぼ無かったように思えます。激しい効果音がなることは少々あっても、それが直接的な恐怖演出に繋がる事は皆無だった気がします。
(まぁまぁホラーが好きなのでこれをはっきり言って良いのかわからない)。
また、開発元となる「Remedy」と世界観を同じものとする「アラン・ウェイク」シリーズを下敷きとしたDLCストーリーも存在し、こちらも楽しかったです。
アラン・ウェイクシリーズに対してあまり明るくなかった自分でも楽しめるような内容で、丁寧かつCONTROL 本編とは血色の違うホラーの様相を広げており、それぞれのゲームに対しての輪郭のある作り方の相違を感じられるなど、ゲームとして質の高い体験を出来ました。
ファンは勿論そうでもない人もアラン・ウェイクシリーズも触ってみたくなる、いい導入でありDLCだったと思います。
また、この追加コンテンツの実装と同時に追加された「アシストモード」は物語を追うためのまさに助力的な機能です。
主人公の体力、残弾の回復速度などをゲームバランスを破綻しない程度に設定する事は勿論、極端なもので言えば敵の一撃死、主人公の無敵化など、ゲームが苦手だけどストーリーを見てみたい!という人に対する手厚いアクセシビリティが用意されているのは、かなり最近のゲームかつ開発の手厚いユーザビリティを感じてとても良いオプションだなと思いました。
このゲーム、扉で接続されているそれぞれのマップを往復しただけで敵が4~6体湧いたりするため、チャプター終了後落ち着いて探索する時は一撃死オンなど出来るのは本当にありがたいんです。
ただ不条理で不安な世界を描くことと、プレイヤーサイドを突き放す事は全く違うと把握しておりかつきちんと誰でも楽しめるゲームに仕上げたのは、本当にとても凄い事だと思います。
『CONTROL』はSteamとPS4/PS5で購入可能で、PS Plusのエクストラ(1つ上のプラン)に加入しているとゲームカタログでDLC1/2込みのコンプリートエディションを遊ぶ事が出来ます。
SCPが好きな人、ホラーは苦手だけど恐怖と不穏が好きな人、ハイコンテクストな世界観のゲームに触ってみたい人、全員にオススメ出来るいいゲームだと思います。オススメです。
『Viewfinder』感想
誕生日プレゼントに頂いたゲームのレビューです。
『Viewfinder』
説明が難しいパズルゲームです。
とにかく独自のシステムですが、直感的な操作で遊ぶ事が出来ます。
画面に対して「写真」を掲げ、
左クリックする事により、「写真」が「空間」としてその場に出現されます。
本当にこういうゲームです。
説明が難しすぎる内容ですが、遊んでいると自然とルールを把握出来るようになり、離れた小島に移動するための「道」を作り出したり、壁に対して「扉」の写真を用意し出現させる事により向こう側に移動出来るようになったり……。
とにかくこうしたら良いのかな?のリトライもかなり手早く行えるため、試行錯誤の回数を重ねる内にハッと思いついたり、慣れてくるとステージ開始時にそういうことかと気づけたりと、遊んでいくにつれ経験と閃きが研ぎ澄まされてくるゲームバランスは、かなりしっかりとデザインされている!と楽しくなりました。
システムがとにかくキャッチャーな作りなんですが、進めるにつれきちんと要素が追加されていき、かつそれぞれがゲームのメインシステムやビジュアルから逸脱しない丁寧な作りになっていました。
『Superliminal』『無限回廊』に近いような、錯視やインタラクティブアートの要素も含んだタイプのパズルゲームが好きな方はとにかく触るべき一本だと思います。
パズルゲームと言いつつもストーリーもしっかりしていて、作中で感じる「なぜ?」「どうして?」は本編中でしっかりと解明されています。
このゲームシステムを実装するにあたって、創作者側として非常に気持ちが良い世界観が用意されており、そうきたか~~!と興奮したりしました。
自分がパズルとして用意された「ステージ」のそのものに触れて、考えて、世界を拡張したり削ったり…をたった数秒の動作で試行錯誤できるゲームで、考えた人凄すぎる……………とずっと感動するような作品でした。
全レベル(ステージ)攻略でのプレイ時間は4時間少しというさっぱりとした触り応えと、それでもたっぷりと遊んだと実感があるボリュームと飽きのこない構成で、パズルゲームが好きな人、トリックアートやインタラクティブアートが好きな人、とりあえず遊んでみたいと思った人、その全員が満足できるようないいゲームだと思います。
オススメです。
誕生日に頂いたゲーム、残り11本です。ゆっくりと遊んでいきたいと思います!
『Critters for Sale』感想
誕生日プレゼントに頂いたゲームのレビューです。
『Critters for Sale』
ノベルゲームです。
ノベルゲームですけど、文章と世界観がかなり独特です。
ただ、プレイ中「何を言っているのか分からない」「専門用語が多すぎてそちらの知識が必要になる」等のノベルゲームとしての形式における弊害はほぼありません。
どちらかというと何も分からない状況でこのゲームが作り上げる世界観に放り出され、右往左往しながら少しづつ魅力に気付いていく楽しさがありました。
全編モノクロで演出されたビジュアルは常に流動し続け、画面に対して歪み、激しく振動し、ノイズが溢れたり、文を読むだけじゃないゲーム自体の面白さを演出し続けています。
またゲーム中は画面をクリックし重要なアイテムを入手したり誰かに話しかけた際にはきちんとテキストが用意されていたりとポイントアンドの要素も含まれており、どちらかといえばアドベンチャー寄りの作品なのかな?とも思います。
前記した通りの"独特な世界観"を作り上げる事にも勿論効果的で、文章に重きを置いたシステムなのに次がどうなるか分からない映像作品を見ているようなドキドキ感があります。
話自体も突飛なビジュアル、目を疑うような世界観、宗教的な要素を含んだ用語のそれぞれから、意外な程すんなりと入ってくるようなこってりとしておらず自然と軽妙な内容で、一番驚いた所でした。
初めは面食らうような内容ですが、5つに別れたチャプターという点と点が繋がり始めた時の気持ちよさ、難解そうに見えてきちんとそれぞれを説明し、ほぼ全ての疑問を回収してくれるユーザーフレンドリーな作りになっており、数多くあるノベルゲームの中でも相当遊びやすい作りになっていたと思います。
個人的に謎解き要素がちょうどよくかつ丁寧に作られていたのが嬉しい…。
少し気になった点としては、チャプターそれぞれが10~30分程度の内容に対し、中断はあるものの再開は無く、エンディングなどの要素の回収は"チャプター開始→エンディング回収→またチャプター開始→エンディング回収→…"が続くという部分でした。
セーブ&ロードも無いので、一度エンディング回収のターンになるとやや作業気味になるかな、と思います。
(テキストや演出の全ては早送り機能が存在するのでガンガン飛ばせますが、とあるチャプターにはどうしても時間が掛かる要素があるので…(その要素がスキップ出来ると知ったのはある程度エンディング回収した後、公式ストアページのレビューを見た時でした。))
久しぶりのノベルゲームだったんですが、全然さっぱりとした遊び心地で、かつ一度味わったら忘れることが出来ないような強烈な世界観と作りの丁寧さを併せ持つ良いゲームでした。全実績(全エンディング)解禁するまで遊びました。
とにかくメインビジュアルに惹かれたら触っていいくらい丁寧に作られたゲームだったと思います。気になった方は是非、一度ストアページを閲覧することをオススメします。損はしないと思います!
誕生日に頂いたゲームは後12本あるので(本当にありがとうございます)、ゲームの進捗に問わず全部の感想は更新はしたいと思います。
終わるかな…………………………。
PERFECT VERMIN 感想
ゲーム「PERFECT VERMIN」をプレイしました。
【Download】
リンク先のDownload Nowをクリック
↓
No thanks, just take me to the downloads をクリックでダウンロードできます。
(リンク先サイトはゲームのダウンロードの他、金額を自身で決め購入出来る、所謂投げ銭システムなのでお気に召したら是非。)
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「オフィスに擬態した化け物が紛れ込んでいる。」
10分くらいでクリア出来る短編ホラーゲーム。
手にしたハンマーでデスク、パソコン、チェア、冷蔵庫を破壊する様子は小気味いい。
その小気味の良さを印象深くする静かな狂気が印象的だった。
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ここからメインの感想です。
Youtubeでたまたまサムネイルを見かけたので勢いでプレイしてみた。
プレイを開始すると何の説明もないままオフィスに投げ出される。そして数秒のイントロダクションの後持ち出したのはハンマー。
目の前の扉を、陳列された椅子を、なんとなくそこにあったソファーを殴ると破片が散らばった。スッキリするタイプのゲームかと思ったが、不穏な雰囲気はひしひしと感じていた。
違和感のある椅子を叩くと、ねばつく悲鳴と共に肉肉しい破片が散らばった。
内容はできる限り伏せるけど、とにかくプレイしてみてほしい作品だった。
淡々としていてまとわりつくような嫌気や、感じていた爽快感が徐々に陰を帯びてくる不穏さ。それとは別に一匹残らず駆逐し尽くしてやるという気概。色々な感情を揺さぶられる、良質なホラーだった。脅かし要素のなく、ただ確実に張り詰めて息苦しくなる緊張感が素晴らしかった。クリア後エピローグで流れる陰鬱としたBGMが印象深い。
言語は英語のみ。ただ簡単な英語がわかればストーリーは理解できると思う。
クリア後、検索して初めて知った「PERFECT VERMIN」の意味がずっと尾を引いている。
トラジディ・ガールズ 感想
映画「トラジディ・ガールズ」を観ました。
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「倫理観が最悪な女子高生二人が純然たる人間たちを殺す」
そんな映画。てっきりサスペンスやホラーを想像していたけど、ホラーコメディに近かった。でもガンガン人が死ぬので閲覧する時は注意した方がいい。
ただこの映画、決して暴力や殺人を肯定する作品ではなく、被害者遺族による慟哭ややるせない残された人間たちの気持ちのそれを尊重する場面や、それこそ殺人を決断にしようしてしまったからによるどうしようもない楔はきちんと描かれているので、かなり丁寧な作りで好感的だった。
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ここからメインの感想です。
観終わった後に感じたのは、「殺人が中心にある少女二人のジュブナイル」だった。
倫理観が最悪で、感情に任せて人を殺し、SNSでのいいね欲しさに犯行に及ぶ危うさはどう好意的に庇護しようが許されざるものだった。
でもこの映画で描かれている殺人は、僕が「絵を書きたい」、部活に勤しむ多感な時期の学生が「良い結果を残したい」、とかそんなものなんだと思う。作中で興味が無くなったものへの関心をあっという間に失ってみたり、きっとやりたいことやるべきこととして「殺人」があるだけなんだろう。
絶望的にたがが外れている二人はただ言動がしつこい元カレだから、私達より目立ったから、そんな理由で殺人を強行してしまうが作中で描かれているその方法は一貫していきあたりばったりではなく、きちんと組み立てられ足を残さず尚且「誰かの仕業に見せかける」というルールの元実行に及んでいる。
だからこそ犯行がばれそうになればこちらもドキっとするし、計画に綻びが生じるような迂闊な行動を取ればこちらも緊張する。
それも手伝って、多感な時期を血と承認欲求にまみれて青春を送る彼女達二人の物語に感情移入し、愛おしく思ってしまうのかなと思ったりした。
結構さっくり見れる作品で良かった。
オススメされた時に「可愛い最悪の女が道徳観のある人間を殺しまくる」と言っていたので作品の見方がわかりやすかったのもあるけど、冒頭からセックスと暴力!往年のサスペンスの構成を暴力で打ち壊すようなポップなイントロダクション!なのでどんな作風か一発でわかるのも丁寧だと思う。
あと本当にホラーコメディと前記したように、「カッとなって手段に殺人を選んだそれぞれ」は殺人に至るまでのやりとり、結果故意じゃなく亡骸と化してしまったおちゃめさ、露悪的なまでのコメディなグロテスク描写などは結構クスってなります。オモロ死が好きな人は是非。
個人的に結構オススメです。